研究分担者 |
鎌倉 矩子 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (50072997)
長谷川 純 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (20290554)
綿森 淑子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (00073023)
高月 容子 兵庫県立姫路循環器病センター, リハビリテーション科主任
森 悦朗 兵庫県立姫路循環器病センター, 高齢者脳機能治療室長
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研究概要 |
本研究の目的は,AD患者の談話の量的・質的な評価を行い,日常生活でのコミュニケーション上の問題との関連を検討することである。昨年度までの研究では,談話評定法試案を作成し,これを用いて失語症患者および健常者との比較において軽度AD患者の談話特徴を明らかにし,さらに,中等度及び重度AD患者を含め,異なる重症度の患者の談話特徴を検討した。しかし,検討したデータは中等度および重度AD患者のものが少ないという偏りがあったため,今年度は追加データを収集した。追加データの収集と処理は未だ進行中であり,重度患者を含めたデータによる談話特徴の確認は,今後の課題として残された形となった。 また,「家庭におけるコミュニケーション上の問題」についての家族に対する聞き取り調査の結果をまとめた。質問紙を用いた聞き取り調査の結果から,家族は主として,話しの繰返し,物忘れ理解力の低下,適切な対処方法の欠如,時の見当識障害などを観察していることが明らかになった。一方,言語面の問題や応答のしかたについて問題を感じている家族は少なかった。この結果は,対象者が中〜軽度AD患者の家族であったことによるものと考える。しかし,患者と会話を続けることを難しいと感じている家族も比較的多かった。 さらに,こうして浮かび上がった,家庭におけるコミュニケーション上の問題と,談話の評定結果との関連を検討した。この結果,言語症状といった点では共通した特徴がみられることがわかった。しかし,はっきりとした関連性は全般的にさほど明確ではなかった。これは,家庭場面と臨床場面という場面の違いを反映した結果と考えられ,AD患者のコミュニケーションの問題を捉えるには,家族からの情報収集とともに,臨床の場で個々の患者の談話を評価することの必要性が確認された。
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