研究課題/領域番号 |
11836001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (90250498)
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研究分担者 |
高木 道浩 神戸大学, 農学部, 助手 (90301283)
杉本 千尋 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90231373)
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キーワード | マレック病ウイルス / アポトーシス / 鶏貧血ウイルス / 抗腫瘍ワクチン |
研究概要 |
マレック病ウイルス(MDV)は鶏に感染後CD4+T細胞にアポトーシスを誘導するが、その機構には不明な点が多く、また腫瘍化した細胞ではアポトーシスは起こらない。そこで腫瘍化の初期に腫瘍細胞特異的にアポトーシスを誘導するような組換えMDVの試作を主目的として研究を行った。アポトーシスを誘導するための遺伝子としては鶏貧血ウイルスのVP3遺伝子をクローニングして用い、そしてVP3遺伝子によるアポトーシス誘導能を培養細胞を用いて検討した。 1.組換えマレック病ウイルスの作成 組換えMDVは強毒株RB1Bを親株として2段階の組み換え操作で作成を試みた。そのためMDVゲノムの*遺伝子領域にβ-ガラクトシダーゼ遺伝子をマーカーとして挿入するためのトランスファーベクターとそのβ-ガラクトシダーゼ挿入部位を標的としてアポトーシスを誘導するVP3遺伝子とmeqタンパク結合プロモーターを連結した(meq-VP3)遺伝子カセットを挿入したトランスファーベクターを作成した。meqプロモーターは腫瘍細胞や潜状感染細胞でのみ発現する転写調節部位であるので作成した組換えMDVは腫瘍細胞でのみアポトーシス誘導遺伝子を発現すると考えられる。 2.VP3発現ベクターを用いたアポートシス誘導能の検討 作成したmeq-VP3遺伝子カセットをマレック病腫瘍細胞株(MSB1)に導入しそのアポトーシス誘導能をDNAの断片化で検討した。Meq-VP3遺伝子カセットを挿入したMSB1では経時的に細胞の生存率が減少し、その際抽出した細胞DNAでもDNA断片化が観察された。このことはmeq-VP3遺伝子カセットがマレック病腫瘍のアポートシスによる除去に応用可能であることを示している。以上の結果より、現在、この遺伝子カセットを組み込んだMDVの作製を行っている。
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