研究課題/領域番号 |
11836008
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
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研究分担者 |
木村 順平 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30177919)
浜名 克己 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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キーワード | 牛の過剰排卵処理 / 超音波診断 / 卵巣摘出 / 卵胞液中ホルモン濃度 / 卵胞壁の組織検査 |
研究概要 |
発情周期中の牛に対する過剰排卵処置が牛の卵巣に及ぼす影響を明らかにするため、直径4mm以上の個々の卵胞について、その発育動態を超音波診断装置で継続的に観察した。また、FSH処置開始後100時間に外科的に卵巣を摘出し、卵巣から卵胞を単離した。その後、実体顕微鏡下で切開し、卵子を回収後、卵胞液を採取するとともに、卵胞壁を固定し、組織学的に検討した。 発情周期の7日と10日に、FSHの4日間投与による過剰排卵処置を行い、卵胞の発育動態を超音波診断装置で12時間置きに観察した。卵胞は直径により、S(<4mm)、M(4〜7mm)、L(>7mm)に分類し、卵胞数の推移を調べた。過剰排卵処置開始時の優性卵胞は、7日処置群ではいまだ発育中であり、他の卵胞の発育を抑制した。一方、10日処置群ではすでに発育を停止しており、新たな卵胞の出現や最終的な成熟卵胞数が7日処置群より多く、卵巣反応が良好であった。 過剰排卵処置中に観察された直径4mm以上の卵胞数は223個であり、単離された卵胞数は170個(回収率73%)、そのうち卵子を回収できたのは123個(回収率72%)であった。卵胞液中のプロジェステロンおよびエストロジェン濃度には出現時間による明確な変動が認められなかった。しかし、処置開始後早期に出現する卵胞では、卵胞液中のE/P比が1以下のものが多い傾向に有った。卵胞の組織学的所見では、最初から存在したDFは、顆粒層細胞が遊離する閉鎖退行像を示し、処置中に出現したDFは顆粒層細胞が厚く充実していた。発情周期の10日ではDFはすでに優性を失い、そのため10日過剰排卵処置を開始する牛群が7日開始群より、Lサイズの卵胞数が増加した。
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