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2000 年度 実績報告書

山羊の黄体発育に及ぼすGnRHアンタゴニスト投与の影響とその機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 11836009
研究機関大阪府立大学

研究代表者

川手 憲俊  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (80221901)

研究分担者 玉田 尋通  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (10155252)
稲葉 俊夫  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (00137241)
澤田 勉  大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60081600)
キーワード山羊 / 黄体 / 黄体発育 / GnRHアンタゴニスト / LH / LHレセプター / VEGF / PGI2
研究概要

平成12年度においては、ヤギ黄体発育機構を解明する目的で、黄体の発育と維持過程における黄体形成ホルモン(LH)受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、血管内皮細胞特異的マーカーであるCD34およびプロスタサイクリン(PGI2)合成酵素の遺伝子発現動態、ならびにLH受容体量およびPGI2の代謝産物である6-keto-PGF1α量を調べた。さらに内因性LHによるそれらの発現調節を明らかにするため、GnRHアンタゴニストを投与し、遺伝子発現におよぼす影響を検討した。
正常な発情周期を示すシバヤギから、排卵後0、4、8および14日目に各3頭ずつ黄体を採取した(対照群)。さらに内因性LHによる発現調節を調べるために、GnRHアンタゴニスト(50μg/kg、sc)を0日目、または0日目と4日目に投与し(GnRHアンタゴニスト投与群)、それぞれ4日目と8日目に3頭ずつ黄体を採取した。
対照群のLHレセプターmRNA量は0日から4日目にかけて有意に増加し、その後も14日目まで増加した。GnRHアンタゴニスト投与群のLHレセプターmRNA量は対照群と比べて4日目で低下する傾向を示し、8日目においては有意な低下が認められた。対照群のLHレセプター量は0日から14日目まで増加を続けた。GnRHアンタゴニスト投与群のLHレセプター量は対照群と比べて4日目で差はみられなかったものの、8日目には有意な低下が認められた。
VEGFは、VEGF165およびその短い異型体であるVEGF121の発現がみられた。対照群のVEGF165mRNA量は4日目までは低く、8日目で有意に増加し、さらに14日目にかけても有意に増加した。対照群のVEGF121mRNA量は0日目から14日目まで一定の値を示した。GnRHアンタゴニスト投与群ではVEGFmRNAの発現に影響はみられなかった。対照群のCD34mRNA量は、0日から4日目にかけて有意に増加し、その後も増加の傾向を示した。GnRH-Ant投与群ではCD34mRNAの発現に影響はみられなかった。
対照群のPGI2合成酵素mRNA量は0日目で高値を示し、4日目で有意に減少し、その後14日目まで低値を示した。GnRHアンタゴニスト投与群ではPGI2合成酵素mRNAの発現に影響はみられなかった。対照群の6-keto-PGF1αの黄体内含有量は、0日目で高値を示し、4日目で有意に減少し、その後14日目まで低値を示した。GnRHアンタゴニスト投与群では6-keto-PGF1α量に影響はみられなかった。
以上の成績から、ヤギにおいては、黄体発育過程におけるLHレセプターの遺伝子と蛋白質の発現量増加は、内因性LHによって促進されていることが示唆された。一方、VEGF165遺伝子は黄体の発育期よりもむしろ維持期において多く発現していることから、VEGF165は維持期における血管透過性の亢進に関与している可能性が示唆された。また、PGI2合成酵素の遺伝子発現および6-keto-PGF1α量は排卵直後に増加していることから、PGI2合成は排卵直後に増加し黄体発育を促進する可能性が推察された。さらに黄体の発育期におけるVEGF、CD34およびPGI2合成酵素の遺伝子発現は排卵後の内因性LHの調節を受けておらず、これらはLHとは無関係に黄体発育を調節している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] N.Kawate,N.Morita,M.Tsuji,H.Tamada,T.Inaba,T.Sawada: "Roles of pulsatile release of LH in the development and maintenance of corpus luteum function in the goat"Theriogenology. 54. 1133-1143 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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