研究概要 |
1、最近の疫学様相の把握のため、140頭の来院猫をランダムに抽出し、免疫学的検討を行なった結果、1頭の猫が血清中の抗体並びに抗原が陽性であり、自然感染例が検出されるとともに、臨床的には無症状期の診断が可能となった。 2、臨床獣医師との情報交換および協力依頼を行ない、提供された自然感染材料を2例剖検し、肺動脈内膜の肥厚や好酸球の浸潤等の病理所見を得た(第129回日本獣医学会2000年4月発表予定)。 3、感染幼虫の注入による定量感染猫を作出をし、免疫学的診断法の有用性を検討した結果、抗体陽転は感染30日後、血清中の抗原陽転は160日後で、発作発生の危険性が高くなる感染180日以前に診断できる可能性が示唆された。 4、未成熟虫の移植による定量感染猫を作出を、入手困難なミクロフィラリア血症猫の作出に成功した。(Veterinary Parasitology;in press)。 5、ネズミモデルの作出 : 代替動物としてスナネズミに、虫体移入法により犬糸状虫の単性感染あるいは単数感染状態を作出し、ネズミの流血中からも循環抗原を検出できることや雄の単性感染でも循環抗原が検出できることなどがわかった。 6、市販キット(Snap, ASSURE/FW)と自作のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA系による抗原検出法の有用性を比較した結果、各法に特徴があり、血中抗原が一様でないことが明瞭になった。 7、自作のモノクローナル抗体を用い、Rapid immunomigration method (RIM)の開発を行ない、循環抗原の検出が可能であった。
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