研究概要 |
最近の疫学調査でアレルギー疾患の犬の50%以上がダニアレルゲンに感作されていることが明らかになった。しかしながら、アレルギー疾患の犬におけるダニ主要アレルゲン(Der1,Der2)に対する反応は調べられていなかった。 今研究においてアトピー性皮膚炎の犬におけるダニ主要アレルゲン(Der1,Der2)に対する反応を調べるために、これらのアレルゲンに対するIgE測定法を確立した。ダニ粗抗原(DF,DP)および主要アレルゲン(Der1,Der2)特異的IgEは犬IgEに対するモノクロ一ナル抗体を用いた蛍光ELISA法で測定した。すなわち、マイクロプレートにこれらの抗原を固相化し、イヌ血清を加えた後、イヌIgEに対するモノクローナル抗体、ビオチン化抗マウスIgG、β一ガラクトシダーゼ標識ストレプトアビジン、最後に基質として4一メチルウンベルフェロンを加えた。 ダニ粗抗原特異的IgE抗体陽性のアトピー性皮膚炎の症状を示す16例の犬の中で、全例でDF特異的IgE、11例でDP特異的IgEが認められた。DPに比べ、DFに対する反応性が強いことが分かった。また、16例中6例にDer1特異的IgE、7例にDer2特異的IgEが認められた。しかしながら、16例中8例はDer1、Der2のどちらにも反応しなかった。犬は人よりもこれらの主要アレルゲンに対する反応性が弱いことが分かった。このことからイヌにおいて人での主要アレルゲンDer1、Der2以外のダニ主要アレルゲンの存在が示唆された。今後、イヌにおけるダニ主要アレルゲンの研究が必要と考えられた。
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