研究課題/領域番号 |
11837002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
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研究分担者 |
盛田 健彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00192782)
小室 元政 帝京科学大学, 理工学部・電子情報科学科, 教授 (00186818)
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
森 真 日本大学, 文理学部, 教授 (60092532)
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キーワード | カオス / カオス遍歴 / 力学系 / エルゴード理論 |
研究概要 |
本年度は前年度の研究を受けて、カオス的遍歴現象がどのような力学系的な構造を背景として発生しているかということについて、より詳しい研究を進めた。中心的な課題は前年度の大域結合写像の場合においての研究から発案された2つの考え、 (1)不変部分空間上のアトラクターの分岐によって、遍歴現象が発生するというもの(小室による) (2)不変部分空間上のアトラクターの法方向へのリヤプノフ指数が0に近く、移動平均の偏差の影響が顕在化することによって発生するというもの(辻井による) をより詳しく検討することであった。 (1)については小室によって振動子数が10個の場合に特定のパラメータ値について詳しい解析が行われた。そして、分岐するアトラクターとその後の軌道が集積する別のアトラクターの位置まで明らかにされた。この方向では同様な分岐が振動子数が多くなるときになぜ頻繁に観測されるかを説明することが重要である。そのために様々な場合に小室によって検証された事実と同様な事実が成り立っているかを数値的に検証する作業を進められた。一方(2)については振動子がすベて同期する場合の近傍では、カオス的遍歴というベき現象が(2)の考えで発生することが予見され、実際に数値的に確かめられた。そして、簡単なモデルについては理論的に、同期する期間の長さとそのような同期が発生する割合が逆数の関係にあることもわかった。 一方、関連する数学的な対象として多次元写像のエルゴード的性質について、Viana写像族と呼ばれる典型的な非一様拡大的な写像の族について研究を進めた。結果としては、Viana写像族について知られていた結果(絶対連続不変測度の存在)がより一般的な写像族について成立する事を示した。
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