1.フラクタル上のラプラシアンに付随する熱核の漸近挙動のマルチフラクタル構造の研究:自己相似集合上のラプラシアンに付随する熱核と対角成分の時間0での漸近挙動は一般に空間に対して一様ではない。空間の自己相似性と境界値の異なる熱核の間の比較定理を用いて熱核の性質を詳しく解析し、その漸近挙動の空間分布がマルチフラクタル構造を持つことを明らかにした。 2.無限分岐的な自己相似集合上のDirichlet formのMarkov性の研究:Kusuoka-Zhouによって構成された自己相似集合上の自己相似的なDirichlet formのMarkov性を、無限次元のconeの上の写像の不動点定理を用いて証明した。(Kusuoka-Zhouの論文ではこの部分の証明が完全ではなかった。) 3.自己相似集合上のラプラシアンに付随するvolume measureの研究:University of CaliforniaのLapidus教授との共同研究によりvolume measureの自己相似性を固有値のDecimationが可能な場合(Sierpinski gasketを含む)について明らかにした。またvolume mesureに関連して現れるmeasureの上の力学系の不動点がspectral exponentを最大化するmeasureに等しいことを示した。さらに一般の場合にvolume measureの自己相似性と局所化された固有関数の存在の関係を明らかにした。
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