(1)self-similar set上のDirichlet formのMarkov性について 楠岡-ZhouはSierpinski carpetを含むpost critically finiteとは限らないself-similar set上にself-similarなDirichlet formを構成した。しかしながら、そのDirichlet formのMarkov性を証明することは、楠岡-Zhouによるオリジナルな構成のままでは、困難であることが指摘されていた。この研究では、無限次元のconeの上の力学系の不動点定理を証明してその応用として、楠岡-Zhouの構成したDirichlet form(をmodifyしたもの)がMarkov性を持つことを証明した。 (2)p.c.f.self-similar set上のLaplacianに付随するvolume measureの自己相似性この研究ではp.c.f.self-similar set上でharmonic structureとself-similar measureから構成されるLalacianに付随するvolume measureがself-similar measureに成るための十分条件を導いた。さらにそのSierpinski gasket上のstandard Laplacianにおいて、局所化された固有関数の分布を考察することにより、その十分条件が満たされることを証明した。 (3)p.c.f.self-similar set上のLaplacianに付随するGreen関数の研究 p.c.f.self-similar set上でharmonic structureから導かれるLaplacianに付随するGreen関数の性質について研究を行った。Green関数の対角成分の近くでの値を帰納的にあたえるnear diagonal formulaと呼ばれるアルゴリズムを見いだし、このアルゴリズムを用いてGreen関数の対角成分の近くでの性質を数値的方法を併用して調べた。とくにSierpinski gasket上のstandard Laplacianの場合にGreen関数の最大値を与えた。
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