研究課題/領域番号 |
11837010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 誠 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (50195210)
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研究分担者 |
茶碗谷 毅 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80294148)
時田 恵一郎 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (00263195)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 生態系 / 蛋白質 / 進化 / 力学系 / 絶滅 / 多様性 / 折れたたみ |
研究概要 |
1.大規模生態系モデルの絶滅と種分化のダイナミクス レプリケーター方程式系に絶滅の効果を導入することにより、種の多様性を力学変数として扱う一般的モデルを構築した。この系のふるまいは元の系とは大きく異なり、初期状態で多様度が高いと大絶滅を引き起こす。また、さらに侵入・変異の効果をとりいれた系を調べ、以下の結論を得た。(1)自然淘汰圧が強いほど、種間相互作用は共生的となる(2)中立的な変異を導入すると複雑な生態系が出現する(3)そのような生態系は侵入に対して強い抵抗性をもつ(4)共生的な変異体グループが高い適応度を持つことで、変異が固定される(5)その結果、階層的な分類構造が出現する(6)個体数の相対的分布は自然界で典型的に見られるものを再現する 2.大自由度生態系モデルの力学系としての構造 優占種が自発的に交替する現象に関係する動力学的構造を解析し、この構造が生態系に限らず様々な対称性を持つ系の時間発展に関係するものであることを示した。また、競争的な相互作用が支配的な系において、多様性が維持される新たな機構を提案した。 3.蛋白の進化における非天然相互作用の役割 βラクトグロブリンはβシート主体の蛋白にもかかわらず、折れたたみの中間状態で非天然的なαヘリックスが蓄積することが知られている。我々が問題としたのは、そのような非天然的中間状態がなぜ進化の過程でも排除されることなく今も残っているかである。格子モデルを用いて自由エネルギー景観を調べたところ、その構造は"funnel構造"とはほど遠く、中間状態が"on-pathway"であることがわかった。この結果より、中間状態が折れたたみ過程で積極的な役割を担っていることが示唆され、そのために進化の過程で保存されてきたと考えられる。
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