研究概要 |
平成12年度に行った細胞集合体中の多種類の細胞の分離パターン形成のモデルについてさらに解析を行い,子実体形成に先立って予定柄細胞の分布が変化する現象が移動体の速度変化に関係する可能性があることを示した。これらの結果を京都大学理学研究科の井上敬講師と共同で京都で行われた4th International Conference on Biological Physicsで発表した。現在,論文を投稿準備中である。 次に,走化性による細胞運動に細胞が持つ接触誘導と呼ばれる効果を付け加えた数学モデルを提出し,理論的な解析及び計算機シミュレーションを行った。その結果,接触誘導の効果により集合体中での細胞の回転運動が説明できること,接触誘導が細胞集合を加速することが明らかになった。さらに,細胞が運動する時に形成される仮足が細胞の出す駆動力の方向を決めるという仮説により,接触誘導現象が説明できることを示した。これらの結果をハワイでおこなわれたInternational Conference on Mathematical and Theoretical Biology及び東京大学で行われた第4回細胞性粘菌研究会(CSM-2002)で発表するとともに,京都大学理学研究科の井上敬講師と共同で論文を執筆し投稿中である。
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