研究課題/領域番号 |
11837013
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
三池 秀敏 山口大学, 工学部, 教授 (10107732)
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研究分担者 |
野村 厚志 山口県立大学, 国際文化学部, 助教授 (40264973)
羽野 光夫 山口大学, 工学部, 助教授 (70108265)
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授 (40212302)
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キーワード | BZ反応 / 化学反応波 / 反応拡散系 / 流体現象 / ラセン波 / 対流波 / マランゴーニ効果 / 表面変形 |
研究概要 |
Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応は、振動的な反応拡散現象や外部からの刺激により励起された化学反応波により、動的な時間空間パターンを自己組織化する系として知られている。本研究では、化学反応波の伝播に伴って誘起される、特異な対流現象の謎の解明を目的とした。振動周期の長い(約10分以上)反応溶液中(深さ約1.0mm)に励起されたラセン波パターン中には、反応開始後約10-15分を経て振動的な対流現象が発生する。我々は、この振動的対流の実態がラセン波中心に向かう対流波の伝播であり、溶液界面の変形を伴う波で有ることを示してきた。一方、最近の研究により反応溶液中の臭化マロン酸が気・液自由界面の表面張力に大きな影響を与えることが明らかにされている。すなわち、反応に伴う中間生成物の空間的な不均一分布が溶質性のマランゴーニ効果を経て表面張力対流を発生させている可能性が有る。 本研究では、実験的アプローチと、数値解析を併用した。実験では、高感度の光学干渉計を導入し、気・液自由界面の微小な変形を定量的に計測し表面張力の空間分布計測を試みた。特に、ラセン波の発達に伴う、ラセン波中心と周辺での表面張力の差を観測することで、振動流の発生に至るメカニズムの解明を目指している。現在までに、干渉計の改良を進め、振動流の発生に伴う干渉縞の時間・空間変動を検出するまでに至っている。一方、反応拡散系と流体現象を結合する数値解析プログラム(流れ関数渦度法)を独自に開発し、化学反応波の波頭でのマランゴーニ効果が、化学反応波の伝播速度に影響を与える事実を見出した。従来、謎とされていた加速的に伝播する化学反応波(Big Wave)解明の糸口を与える結果が得られたといえる。これらの結果は、2000年3月17日から20日に開催される"International Symposium on Chaos and Order in Chemistry(Nara,2000)"で報告する。
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