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1999 年度 実績報告書

脳の記憶状態のダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 11837016
研究機関九州工業大学

研究代表者

林 初男  九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (00108664)

キーワード海馬 / CA3領野の周期刺激 / CA1領野の電場電位応答 / シナプスの可塑的変化 / 多点同時記録 / 時空応答 / CA3領野の自発リズム / ダイナミクス
研究概要

本研究の目的は,シナプスの可塑的な変化を起こしたラット海馬CA1領野の活動のダイナミカルな性質を明らかにすることである。平成11年度の研究計画・方法に従って,麻酔をかけたラット(10週齢)を用い,新皮質を除いて露出させた海馬CA1領野からマルチ電極で電場電位を多点同時記録した。刺激位置としてはCA3領野を選び,20Hzの繰り返しパルス電流刺激を加えた。
繰り返し刺激の最初のパルス刺激によってCA1領野表面に生じたシャッファーシナプスのpEPSPは空間的に一様であった。その後,数回〜数十回パルス刺激を繰り返すと,ある限られた領域でpEPSPが加重し,集合活動電位が生じた(A相)。さらに繰り返し刺激を続けると,pEPSPが減少し一時的に集合活動電位が生じなくなるが(B相),その後再び集合活動電位が生じるようになった(C相)。
各相でのシナプスの可塑的な変化を調べると,A相ではpEPSPは変化していなかったが,B相でpEPSPのわずかな抑圧が起き,C相でpEPSPの大きな抑圧が起きた。この抑圧はCA1領野の反回性抑制の増強を反映したものだと推察される。すなわち,記憶の座としてのシナプスの可塑的な変化は,反回性興奮回路ではなく反回性抑制回路で生じている可能性がある。pEPSPの抑圧が起きたC相では,多シナプス回路が関与した活動であることやリバウンド興奮であることを反映し,複雑な応答を起こした。また,CA3を周期刺激する事の妥当性を示すため,CA3領野のLTPと周期的自発リズムに関しても新たな知見を得た。
平成12年度は,研究計画・方法に従って,シナプスの可塑的変化が起きているC相の複雑な応答のダイナミカルな性質を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 中島 孔志 他: "苔状線維局所刺激によりラット海馬CA3縦断面スライスの2つの局所領域に生じた自発性てんかん様バーストリズムとLTPの分布"日本神経回路学会講演論文集. 85-86 (1999)

  • [文献書誌] 日南休 泰明 他: "ラットの海馬CA3領域の周期刺激に対する海馬CA1領域の応答の空間分布とその時間変化"日本神経回路学会講演論文集. 132-133 (1999)

  • [文献書誌] 中島 孔志 他: "CA3錐体細胞相間の興奮性シナプスのLTPと自発性のてんかん様バースト"日本生物物理学会講演予稿集. s56-s56 (1999)

  • [文献書誌] Koushi Nakashima 他: "Spontaneous epileptiform bursts induced in different regions of rat longitudinal CA3 slices by mossy fiber stimulation at different sites"Proceedings of a the 3rd International Workshop on Neural Coding. 79-82 (1999)

  • [文献書誌] Yasuaki Hinayasumi 他: "Temporal change of the spatial distribution of the hippocampal CA1 response to periodic hippocampal CA3 stimulation"Proceedings of the 3rd International Workshop on Neural Coding. 147-150 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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