研究概要 |
心肥大における心筋からのアルドステロン産生の病態生理学的意義について検討するために脳卒中易発症自然発症高血圧ラット(SHRSP)を用いて検討した。 SHRSPは悪性高血圧のモデルであり,著明な心肥大を呈することが知られている.心筋から産生されたアルドステロンがSHRSPの心肥大進展に及ぼす影響について検討した.2週,4週,9週齢のSHRSPから心臓を摘出し,潅流標本を作製し潅流液中のアルドステロンをHPLCで分離後RIAにて測定した.また組織中のアルドステロン合成酵素活性を[^3H]DOCを用いて検討した.さらに心筋におけるアルドステロン合成酵素遺伝子(CYP11B2)mRNAの発現を競合的RT-PCR法にて定量し,心肥大との関連について検討すると,心筋からのアルドステロン産生,合成酵素活性,mRNAの発現は心肥大の進展とともに増加し,心肥大の病態に関与していることが示唆された.次に副腎からのアルドステロンの影響を除外するために,SHRSPの両側副腎摘出を行い,アルドステロン受容体拮抗薬であるスピロノラクトンを投与し心肥大の変化について検討した.両側副腎摘出SHRSPにおいても心肥大の進展がみられたが,スピロノラクトン投与により心肥大の進展は予防できた.これらのことより心筋から産生されるアルドステロンは心肥大の病因に一部関与していることがさらに示唆された.
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