研究概要 |
血管平滑筋細胞において、種々の血管作動物質によるストレス蛋白質(heat shock protein,HSP)の誘導およびその誘導における細胞内情報伝達の機序について検討し、以下の結果を得た。 1.バゾプレシンは低分子量HSP27のリン酸化のみならず、HSP27の誘導を促進した。一方、バゾプレシンは高分子量HSP70には何ら影響しなかった 2.バゾプレシンはマップキナーゼスーパーファミリーのうち、p42/p44マップキナーゼとp38マップキナーゼのリン酸化を促進した。 3.p38マップキナーゼの阻害剤により、バゾプレシンによるHSP27の誘導およびmRNAの発現が抑制された。p42/p44マップキナーゼの阻害剤はこれらに何ら影響を及ぼさなかった。 4.プロテインキナーゼCの阻害剤により、バゾプレシンによるp38マップキナーゼのリン酸化は著明に抑制された。 私共は既に、本細胞においてバゾプレシンがホスフォリパーゼCおよびホスフォリパーゼDを介して、プロテインキナーゼCを活性化することを報告している。これらの結果より、バゾプレシンは低分子量HSP27を誘導し、この誘導における細胞内情報伝達機構においてp38マップキナーゼの活性化がプロテインキナーゼCの下流において促進的に作用していることが明らかとされた。
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