研究課題/領域番号 |
11838010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 亙 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80271089)
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研究分担者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90238105)
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キーワード | 血管平滑筋細胞 / 形質転換 / シグナル伝達 / 転写調節 / serum response factor / ホメオドメイン蛋白質 / GATA転写因子 |
研究概要 |
分化型平滑筋細胞は血清やPDGFなどの細胞増殖因子で刺激すると、線維芽細胞様に変化し収縮能も失う。このような脱分化状態において、平衡筋特異的な遺伝子群の転写量は著しく減少する。このため、我々はまず平滑筋細胞の初代分化維持培養系を確立した。形態・収縮能・分子マーカーの3つを指標として分化維持条件の検索を行なったところ、細胞外基質としてラミニン、液性因子としてIGF-Iの2つを与えることで消化管および血管平滑筋細胞ともに分化状態を維持できることが明らかになった。IGF-Iシグナルの下流ではPI3キナーゼおよびプロテインキナーゼB(Akt)が活性化されており、PI3キナーゼの阻害剤であるWortmnninおよびLY294002を添加することでIGF-I存在下でも平滑筋細胞は脱分化状態へ移行した。一方、同培養系を用いて脱分化状態におけるシグナル伝達機構を解析した結果、平滑筋細胞が形質転換を起こすには、MAPキナーゼ経路のうちERKおよびp38MAPKが同時に活性化される必要があることを明らかにした。次に、我々は平滑筋特細胞特異的遺伝子の転写調節機構を明らかにするため、カルデスモン、_α1-インデグリン、SM22_α、β-トロポミオシン遺伝子のプロモーター領域を解析した。この結果、興味深いことに全てのプロモーター領域にCArGボックスが存在し、SRF(serum response factor)が同部位に結合することで転写の活性化が起こることが明らかになった。しかしながらSRFは全身で発現しているため単独では平滑筋組織特異的な転写調節を規定することはできない。我々はCArGボックス/SRF相互作用の補助調節因子として、平滑筋組織で豊富に発現するホメオボックス遺伝子、Nkx-3.2のクローニングに成功した。フットプリント解析の結果、_α1-インテグリン遺伝子のプロモーター領域にはCArGボックスの他、TAAT配列およびGATA配列に核蛋白質が結合することが明らかになった。そこでSRF、Nkx-3.2および「GATA-6を非筋細胞である10T1/2線維芽細胞に同時に強制発現すると_α1-インデグリン遺伝子のプロモーター活性は著しく上昇した。以上より、平滑筋組織特異的な転写調節にはCArGボックス/SRFがコア因子として働き、組織特異性はホメオドメイン蛋白質およびGATAファミリーが規定していうると考えられる。我々はさらに、シグナル伝達経路の下流と転写調節機構の接点の解明を目指している。
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