研究概要 |
心筋樹状細胞は心筋における免疫応答において極めて重要な役割を担っている。心筋ミオシン免疫にて臓器特異的に惹起されるラット自己免疫性心筋炎モデル(EAM)におけるこれまでの検討では、動員された樹状細胞が抗原提示細胞として抗原特異的T細胞クローンを賦活化し、初期病変を形成していた。今回我々はまず同様な所見がヒト心筋炎の心筋組織中に認められるかを病理組織学的に検討した。樹状細胞はヒト正常心筋中にもわずかながら存在し、特に心筋炎急性期に多数認められた。また、その細胞表面抗原(HLA-DR+,CD68-)および形態的性状は、マクロファージとは明らかに区別しうるものであり、いずれの所見もEAMと極めて類似していた。現在他の心疾患での所見も検討中で、拡張型心筋症でも心臓樹状細胞の動員が確認されている。 一方、EAMにおける経時的サイトカイン発現の推移についてはこれまで心筋浸潤T細胞に主眼を置き検討してきた。その結果サイトカイン・プロフィールから病変形成T細胞がTH1からTH2にシフトしていくことが観察された。そこで、次に炎症を形成する細胞別のサイトカイン発現を検討すべく免疫組織学的検討を試みたが、今のところ手法の確立に至っていない。現在、心筋組織中からの樹状細胞の単離を模索中であり、単離後樹状細胞のサイトカイン発現や抗原提示能をin vitroで検索する予定である。
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