自己免疫性心筋症における樹状細胞の役割に関する分子生物学的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11838015
• 研究機関: 北里大学
• 研究代表者: 和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
• 研究分担者: 猪又 孝之 北里大学, 医学部, 講師 (20311954)
• キーワード: dendritic cell / myocardifis / cardromyopathy / hybridome

研究概要

心筋樹状細胞は心臓における免疫応答において極めて重要な役割をもっている。心筋ミオシン免疫にて臓器特異的に惹起されるラット自己免疫性心筋炎(EAM)におけるこれまでの検討では、動員された樹状細胞が抗原提示細胞として抗原特異性T細胞クローンを賦活化し、初期病変を形成することが知られた。そこで今回、我々はヒト心筋炎ならびにヒト心筋症における心筋構成蛋白特異的反応性T細胞を検出する目的でMHC抗原を発現するハイブリドーマ細胞を作成することを試みた。加えて、このハイブリドーマによるEAMにおけるラット免疫系の解析を行った。
ルイスラットclass II MHCを発現し、ルイスCD4^+T細胞に対し特異的に抗原を提示する細胞を作成するために、ルイスラット膝窩リンパ節からリンパ球を分離し、Balb/cマウスB細胞種(M12.4.5)と細胞融合しクローンMLEWを得た。この細胞をフローサイトメトリー、KLH抗原を用いて検証した結果、抗原特異的ルイスラット由来CD4^+T細胞はMLEWと抗原の存在下でγインターフェロンを産生した。従がってMLEWはルイスCD4^+T細胞に対して、ルイスラット由来class II MHC分子上に抗原KLHを提示することが明かとなった。またこのT細胞は抗原特異的に細胞傷害活性を示すことも示された。一方、CD8^÷T細胞の細胞傷害活性解析に有用と考えられるルイスラットclass I MHCを発現するBWLEW細胞も作成することに成功した。
これらの細胞を用い、EAMモデルにおいて抗原提示能をin vitroで検証した。まずT細胞ラインをEAMリンパ節並びに心筋から分離した。このT細胞表面分子はCD4^+であり、しかもハイブリドーマ細胞、MLEW存在下においてブタ心筋ミオシンに特異的に活性化された。また心筋細胞傷害性を発揮することが^<51>Cr放出活性試験により確認された。このことから我々の作成したMLEWはヒト自己免疫性心筋炎やヒト自己免疫性心筋症を検索するうえで極めて有用なツールとなることが明かとなった。

研究成果

• [文献書誌] Ken Kohno,T.Izumi et al.: "Advantage of Recombinant Technology for the Identification of Cardiac Myosin Epitope of Severe Autoimmune Myocarditi in Lenis rai"Japanese Heart Journal. 41、1. 67-77 (2000)
• [文献書誌] Ken Kohno,T.Izumi et al.: "Resuscitation From Fulminant Myocarditis Associatied with Refractory Ventricular Fibrillatron"Japanese Cirulation Journal. 64、2. 139-142 (2000)
• [文献書誌] T,Izumi: "Experimental Autoimmune Myocarditis and pathomechanisum"Herz. 25、3. 274-278 (2000)
• [文献書誌] T.Inomata,T.Izumi et al.: "nti-CD_2 Monoclonal Antibodies Prevent The Induction of Experimental Autoimmune Myocarditis"Japanese Heart Journal. 41、4. 507-517 (2000)
• [文献書誌] C.Matsuda,T.Izumi et al.: "Studies on Reactivity of T Lymphocytes Derived from Lew Rats Undergoing Experimental Autoimmune Myocarditis (EAM)"北里医学30. (in press). (2001)
• [文献書誌] C.Matsuda,T.Izumi, et al.: "Antigen-Presenting Hybridoma Cells Expressing MHC Antigens of the LEW Rat."Journal of Immunol Methods. (in press). (2001)