1)PPARγ内因性リガンド(15d-PGJ_2)によるCOX-2転写の調節(マクロファージ系細胞と血管内皮細胞における相違) 15d-PGJ_2によるCOX-2の発現をノーザン法、ウエスタン法で検討した結果、マクロファージ系U937細胞では抑制され、血管内皮細胞では抑制されなかった。一方PPARγmRNAの発現はU937細胞では認められたが、血管内皮細胞では認められなかった。そこで、内皮細胞にPPARγ発現ベクターを導入したところ、15d-PGJ_2によるCOX-2プロモーターの抑制効果が認められるようになった。また、15d-PGJ_2に変換されるPGD_2はU937細胞ではCOX-2の発現に依存して生産されていた。これらの結果からマクロファージ系細胞ではCOX-2の発現がPPARγによってフィードバック制御されることが示唆され、特にマクロファージ系細胞で観察されるCOX-2遺伝子発現のダイナミックに変化する機構が明らかとなった。(投稿し、レフリーのコメントに沿って修正中) 2)酸化LDL及びPPARγ合成リガンドによるCOX-2転写の調節 酸化LDL自身はCOX-2の転写にそれほど大きな影響を及ぼさなかった。しかしながら、培養液の条件をさらに検討する必要がある。 3)平滑筋細胞の合成型・収縮型相互変換におけるCOX-2関与の検討 通常の培養血管平滑筋細胞は合成型であるが、温度感受性のSV40T抗原を発現させることによって、培養温度を変えることで合成型と収縮型の相互に変換できる細胞(SVS30)が開発された。この細胞を用いて、変換過程におけるCOX-2の発現をノーザン法で検討したところ、収縮型の細胞において増強していること、いくつかの刺激剤によってヒト由来平滑筋細胞とは異なった挙動を示すことがわかった。現在、プロモーター活性を測定し、さらに検討中。
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