研究課題/領域番号 |
11838022
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
斯波 真理子 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (70271575)
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研究分担者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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キーワード | 遺伝子治療 / non-viralベクター / 共重合体 / PICミセル / HepG2細胞 / カチオニックポリマー / 肝臓 / ポリLリジン |
研究概要 |
安全で効率の良い遺伝子治療法の開発を目的とし、カチオニックポリマーであるポリLリジン(PLL)とポリエチレングリコール(PEG)の共重合体とDNAのポリイオンコンプレックスミセル(PICミセル)を作製、遺伝子導入ベクターとしての条件の最適化を行った。静脈内投与により目的の細胞において遺伝子を取り込ませるためには、まず血中安定性の高いベクターを構築するべきである。PICミセルのターンオーバースタディより、PLLの長さは、19マーと48マーでは48マーのものが血中安定性が高く、DNAとPLLのチャージ比率は1:4〜1:8のものが1:1〜1:2のものより安定であることがわかった。in vitroにおける遺伝子発現をHepG2細胞を用いて行った。遺伝子発現効率は、チャージ比率が1:2〜1:4のもので最大であった。フリーのポリマーとのpreincubationにより遺伝子発現効率が低下したことより、PICミセルによる遺伝子導入は、カチオニックポリマーの静電相互作用によりおこるものであることが示唆された。in vivoにおけるPICミセルの遺伝子発現をマウスを用いて検討した。CMV-Controlを用い、チャージ比率が1:0〜1:6のPICミセルを上腸間膜静脈から投与したところ、1:4のもので肝臓に著明な活性を認めた。その他の臓器においては有為な活性の上昇を認めなかった。以上より、PICミセルは遺伝子導入ベクターとしてin vitroおよびin vivoで有用であることが示唆された。今後、PEGにガラクトースなどのリガンドを導入することにより、細胞特異的な遺伝子導入が可能になる。
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