研究課題/領域番号 |
11839010
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 幸子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20233273)
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研究分担者 |
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
山本 良平 倉敷紡績(株), 技術研究所, 主任研究員
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キーワード | ダイオキシン / RDA / E16 / CD98LC / hLAT1 / p21 / WAF1 / Cip1 / 肝 |
研究概要 |
ダイオキシンの作用機序を明らかにする目的で、RDA(Representational Difference Analysis)法を用いて、ヒト肝癌細胞株HepG2において、ダイオキシンにより発現が増加する遺伝子のクローニングを行った。HepG2細胞に、蛋白合成阻害剤cycloheximide(CHX)を添加し1時間後に、1nMの2,3,7,8-tetrachloro-dibenzo-p-dioxin(TCDD)を添加し、3時間後に細胞を採取し、total RNAを調製した。対照となる細胞にはCHXのみ添加した。両群のtotal RNAからmRNAを精製し、cDNA合成、ampliconの作製を行い、次にdifferential hybridization、 PCR増幅を行った。増幅された数十個のcDNA断片をplasmidにクローニングし、DNA dot blot法によりTCDDで発現や増加するcDNAをクローニングした。塩基配列を決定した結果、クローンの一つはE16/CD98LC/hLAT1と呼ばれるmultifunctionalな蛋白をコードするcDNAであった。もう一つはサイクリン依存性キナーゼの阻害蛋白p21/WAF1/Cip1であった。これらのcDNAをプローブとしてノザンブロット法を行ったところ、確かにTCDDによりE16とp21のmRNAは増加した。更に、CHXで細胞を前処理しておくと、E16mRNAでは、TCDDによるのsuperinductionが認めらた。この結果から、E16mRNAの増加には新たな蛋白合成の必要が無いこと、即ちTCDDはダイオキシンレセプターを介してE16遺伝子の転写を直接促進させることが示唆された。E16の機能の一つであるアミノ酸の細胞内への輸送を、放射性ロイシンの細胞内取り込みを検討したところ、TCDDにより取り込みが有意に増加した。こうした結果から、ダイオキシンはE16とp21遺伝子の発現増加を介してヒト肝細胞の機能に影響を与えることが示された。
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