研究課題/領域番号 |
11839010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 幸子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20233273)
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研究分担者 |
長屋 敬 新生会第一病院, 内科, 医長 (80262913)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
山本 良平 倉敷紡績(株), 技術研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ダイオキシン / RDA / E16 / CD98LC / hLAT1 / p21-WAF1 / Clip1 / 肝 |
研究概要 |
内分泌かく乱化学物質は大気中や土壌、河川などに存在し、生体内に入りヒトや野生動物の内分泌機能をかく乱し、生殖障害や悪性腫瘍を引き起こすことが知られている。中でもダイオキシンは極めて低濃度で内分泌かく乱作用を示す。これまでの多くの研究にもかかわらず、分子レベルでのダイオキシンの作用機序は明らかではない。そこで本研究では、ダイオキシンの作用機序を明らかにするため、RDA(Representational Difference Analysis)法を用いて、ダイオキシンにより肝細胞で発現が変化する遺伝子のクローニングを行った。cDNA RDA法は、2つのcDNA集団からどちらか一方の集団にのみ存在するcDNAを、PCR法を用いてクローニングする方法である。従って2つのDNA集団として、ダイオキシンで処理した細胞のmRNAから合成したcDNA集団と未処理の細胞のcDNA集団を用いた場合には、ダイオキシンにより発現が促進あるいは抑制される遺伝子をクローニングすることが可能である。我々は、蛋白合成阻害剤存在下で1nMの237-tetrachloro-dibenzo-P-dioxin(TCDD)をヒト肝癌細胞株HepG2に添加し、そのcDNAを用いてRDA法を行い、ダイオキシンに直接応答するcDNAをクローニングした。そしてNorthern blot法やWestern blot法を用いてこれらの遺伝子発現を検討した結果、E16/CD98LC/hLATIと呼ばれるmultifunctionalな蛋白とP21/WAF1/Cip1がTCDDにより増加することが明らかになった。E16はL-型アミノ酸トランスポーターのサブユニットで、TCDDにより放射性ロイシンの細胞取り込みが増加した。このトランスポーターは甲状腺ホルモンの取り込みにも重要であることが知られ、TCDDは甲状腺ホルモン作用にも影響を及ぼすことが示唆された。一方、P21は細胞周期の調節に重要な蛋白である。 本研究によりTCDDのヒト肝細胞に対する新しい作用が明らかになった。
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