いわゆる環境ホルモン、内分泌攪乱化学物質が社会的な関心を得ている。内分泌攪乱化学物質の中にはエストロゲン様作用を示すと指摘されている物質がある。エストロゲンは生殖、発生に重要な女性ホルモンの一種であるが、同時に、ヒトの様々な部分でもその役割を果たしている。その役割の一つとして、膵臓のランゲルハンス島におけるインスリン分泌を制御している可能性が示唆されている。そこで、本実験ではエストロゲン様作用が指摘されている2種の薬剤(ポリカーボネイド樹脂製食器からの溶出が指摘されているビスフェノールA(Bis-A)と非イオン界面活性剤として広く利用されて水質汚染が注目されているノニルフェノール(NP))がインスリン分泌にいかなる影響をあたえるかを検討した。 ラ島にはエストロゲン受容体遺伝子がα型、β型ともに発現していることが明らかになった。また、エストロゲン様作用を指摘されている2種の薬剤(Bis-A、NP、各10ppb)は、急性反応、長時間曝露(24時間)にて、両薬剤ともブドウ糖刺激によるインスリン分泌を促進した。このことよりいわゆる環境ホルモンと呼ばれる薬剤の一部には糖代謝に影響を与えるものが存在することが明らかとなった
|