• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

エストロゲン合成欠損マウスを用いた新しい内分泌撹乱物質の検出システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 11839016
研究機関高知医科大学

研究代表者

静田 裕  高知医科大学, 医学部, 教授 (50025631)

研究分担者 久下 英明  高知医科大学, 医学部, 助手 (70304673)
戸田 勝巳  高知医科大学, 医学部, 助教授 (40197893)
キーワードエストロゲン / ノックアウトマウス / 内分泌撹乱物質
研究概要

女性ホルモン(エストロゲン)は、男性ホルモン(アンドロゲン)からアロマターゼの酵素作用を受けて生成する性ステロイドホルモンである。このホルモンは女性生殖器官(卵巣,子宮,乳房)等の2次成長に重要な役割を果たす事が知られているが、男女共に脳においてα及びβと呼ばれる受容体の存在が証明され、脳におけるエストロゲンの役割の解明が注目を集めている。男女の言動の違いは、上述の生殖器のみならず、脳におけるこれらのホルモンの役割が違う可能性が極めて強いからである。現にラットでは、雄脳と雌脳の形態学的相違点が明確に証明され、男女の行動差等の解明が待たれている。我々は、上記の女性ホルモンであるエストロゲン合成酵素の遺伝子を選択的に破壊した雄及び雌のKOマウスを用い、エストロゲンの脳における役割を調べると同時にこのホルモンの攪乱物質の検出計開発する基礎研究を行った。その結果、1)ES細胞からスタートして選択的にEXONIを破壊し、何代もの世代育成を行い、雄及び雌の純系マウスを確立した。雌のKOマウスはエストロゲンがない為、2次的に卵巣及び子宮に変態・脱落が起こるが、生後直ぐにエストロゲンを補充するとこの様な現象は認められない。しかし、攪乱物質を同時投与するとエストロゲンの作用が妨害され、退行変成が始まる。2)雄のKOマウスではaggressionを全く欠如しており、成長した両者を同じcageに入れても相手を排除するaggression機能を失っている。しかし、生後間もなくからエストロゲンを補充してやると、完全に野性タイプと同じくface to faceのaggressionが始まる。これにホルモン攪乱物質を入れると、再びaggressionがなくなりKO動物に近付いてくる。3)雄のKOマウスには性行動異常があり、野生株の発情した雌に掛け合わせても追いかけ回すだけで、正しい性行動ができない。だが、生後すぐにエストロゲンを補充してやると100%性行為が成立し、雌は妊娠する。4)エストロゲンの補充開始が生後一週間後に行われると効果はなく、ホルモン攪乱物質の検出計とする事はできない。5)その他、KOマウスでは食欲亢進・骨粗鬆症等が見られるが、何れも早期のエストロゲン補充によって防止される。それがホルモン攪乱物質によって阻害される。
以上の様に、本研究は雄、雌の脳におけるエストロゲンの役割を解明する第一歩を踏み出したものであり、ホルモン攪乱物質のbioassay計を開発したものと言える。in vitroでの検出法は昨年行った。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Nemoto,Y. et al.: "Altered Expression of Fatty Acid-Metabolizing Enzymes in Aromatase-Deficient Mice."J.Clin.Invest.. 105. 1819-1825 (2000)

  • [文献書誌] K.Toda et al.: "A loss of aggresive behaviour and its reinstatement by oestrogen in mice lacking the aromatase gene (Cyp19)."Journal of Endocrinology. 168. 217-220 (2001)

  • [文献書誌] Chisato Miyaura, et al.: "Sex- and Age-Related Response to Aromatase Deficiency in Bone."Biochemical and Biophysical Research Communications. 280. 1062-1068 (2001)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi