研究概要 |
外因性内分泌かく乱物質は内分泌系のみならず、自己免疫系に対しても影響を与える可能性がある。したがって本研究では内分泌かく乱物質暴露の自己免疫疾患モデルであるコラーゲン関節炎(CIA)に与える影響およびそのメカニズムについて検討した。 [方法]実験動物としてはDBA/1Jマウスを用いた。CIAを誘導するため、100μgの軟骨構成成分であるII型コラーゲン(type II collagen, CII)をアジュバント(CFA, LPS)とともに注射免疫した。BPAは免疫時から1日1回35日間経口投与した。Th1反応の指標としてCII免疫動物の脾臓T細胞によって産生されるTh1サイトカイン(IL-2,IFN-γ)分泌およびTh1細胞依存性の抗CII抗体IgG2a産生、Th2反応としてTh2サイトカイン(IL-4,IL-10)分泌およびTh2細胞依存性の抗CII抗体IgG1産生をELISA法によって測定した。 [結果]BPA投与によってCIAの発症率および関節炎重症度の促進がみられた。また、BPA投与群において用量依存的なIL-2,IFN-γおよびIgG2a抗体産生の増大がみられた。また、BPAによってIL-4,IL-10およびIgG1抗体産生も促進されたが、その程度はIL-2,IFN-γおよびIgG2a抗体産生の場合よりも小さかった [考察]外因性内分泌かく乱物質BPA暴露によってCIAのような自己免疫疾患は影響を受けると思われる。そのメカニズムとしてはTh1およびTh2細胞によって産生されるサイトカインの亢進によると思われるが、Th1細胞により選択性があるとと考えられる。
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