研究課題/領域番号 |
11839019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
征矢野 清 長崎大学, 水産学部, 助教授 (80260735)
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研究分担者 |
石橋 康弘 長崎大学, 環境保全センター, 助手 (00212928)
高良 真也 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (40225389)
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
東藤 孝 新潟大学, 理学部, 助手 (60303111)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 環境ホルモン / 胎生魚 / 生殖異常 / 雌性ホルモン |
研究概要 |
内分泌攪乱化学物質が魚類の生殖現象及び生残に与える影響を胎生魚のカダヤシを用いて調べた。本研究では、カダヤシの親魚をビスフェノールA(BPA)に暴露させ、親魚体内の胎児における形態異常の有無と生殖線の形態変化を観察した。また、正常に産仔された仔魚をBPAに暴露させ、生殖線の形態変化と生残率を調べた。本研究により得られた成果は以下の通りである。 1)受精卵及び胎児を持つ親魚を産仔までの期間(約23日間)20ppb及び2000ppbのBPAに暴露させ、産仔された仔魚の生残率と奇形率を調べたところ、20ppb暴露群ではほとんど生残仔魚は得られず92.1%が死産仔魚であった。これらの死産仔魚は全て頭部変形、脊椎湾曲、卵黄嚢肥大などの奇形形態を呈していた。2000ppb暴露群では産仔が行われなかった。 2)発生後期の胚を持つ親魚をBPAに暴露すると、産仔された仔魚の36.5%は死産であり、そのうち91.3%は頭部変形、脊椎湾曲などの奇形形態を呈していた。 3)受精期の欄を持つ親魚をBPAに暴露しても同様の奇形を持つ死産仔魚が認められた。 4)正常に産仔された仔魚を20ppbのBPAに30日間暴露したところ、形態異常は全く引き起こされず、生残率もBPAを暴露していない対照区の仔魚と変わらなかった。 5)BPA暴露した親魚より産仔された仔魚及び産仔後にPBA暴露した仔魚のいずれにおいても生殖腺形態の異常は観察されなかった。ただし、高濃度のPBAを暴露した親魚の生殖腺では、退行卵が観察された。 本研究の結果、親魚体内で発生中の胚は親魚を通してBPAの影響を強く受けることが明かとなった。また、産仔後の仔魚では同濃度のBPAにさらしても異常が認められないことから、化学物質の影響は胚発生過程にある胎児への影響が大きいと考えられる。
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