研究課題/領域番号 |
11839020
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
酒井 久美子 大分医科大学, 医学部, 教務員 (60225753)
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研究分担者 |
吉田 敏 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50158440)
江頭 亨 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50053947)
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キーワード | 内分泌かく乱物質 / スチレン類 / 脳神経系 / モノアミンオキシダーゼ / セロトニン代謝 / サル |
研究概要 |
はじめに、ポリスチレンから純水中に100度、48時間で溶出する成分のうち、いずれがMAOA(モノアミンオキシダーゼA)を阻害するか、検討した。逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法で、溶媒のアセトニトリル濃度が約30%付近で溶出する画分のみが、サル脳ミトコンドリア膜中のMAOAの基質セロトニンに対する酵素活性を阻害した。この画分を大量に調製し、以下の解析に用いた。 このMAOA阻害画分を、フーリエ変換赤外分光法、およびフーリエ変換ラマン分光法を用いて構造解析したところ、やはり、ベンゼン環を持つ単純な低分子化合物である可能性が高くなった。現在、どのような置換基を持つか、さらに別の手段で検討している。 次に、サル脳ミトコンドリア膜を固定したセンサーチップを用いた表面プラズモン共鳴法により、この画分が基質セロトニンと同様の部位に結合していること、MAOAの阻害剤クロルジリンと同様のセンサーグラムを示し、MAOAを含んだミトコンドリア膜で、この画分がセロトニンと競合的に阻害することが示唆された。 また、別のアプローチとして、市販のスチレン類(モノアー、ダイマー、トリマー)を用いてこれらが直接、MAOAを阻害するかどうか、検討した。モノマー1mMの時、サル脳ミトコンドリア膜中のMAOAの活性を60%阻害したが、MAOAのアイソザイムであるMAOBでは、活性を10%阻害したにとどまった。また、ラットミトコンドリア膜を用いた場合、MAOA,MAOBともに阻害し、サルとラットでは異なることがわかった。さらにサル脳で5uMダイマーで20%、同じく5uMトリマーで35%のMAOA活性阻害が見られた。
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