研究概要 |
1.コプラナーPCBによりGUS発現に影響が現れるエンハンサートラップ系統の解析。平成12年度の研究でAc/Dsトランスポゾンタギング法およびT-DNAタギング法により作出された約1200個体の遺伝子タギング系統のシロイヌナズナ形質転換体の中から、コプラナーPCB中でTEF値の一番高い3,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニール(ペンタCB)の暴露によりレポーター遺伝子であるGUS発現に影響の現れる系統が2つ得られた。その内の1系統は第1子葉のGUS発現にのみ相違が見られる系統で、これについてサザン解析の結果、1ゲノムあたり3コピーのレポーター遺伝子導入が見られた。導入位置についてはさらに解析中である。 2.RT-PCRを用いたディファレンシャル ディスプレイ法によるペンタCB特異的mRNAの解折。使用した46種類の任意配列プライマーの内、10種類のプライマーがPeCB曝露により特異的に発現制御を受ける遺伝子を捕らえた。その内の4種類のプライマーはPeCB曝露により発現が促進される遺伝子を捕え、3種類のプライマーは発現が抑制される遺伝子を捕えた。また、残りの3種類のプライマーはPeCB曝露により発現が抑制、促進される遺伝子を同時に捕えた。その中に様々な化学物質に対する代謝応答に関与するチトクロームP450遺伝子が含まれており、植物におけるチトクロームP450の代謝応答の多様性を考えると興味ある結果である。 3.リグニン分解酵素系遺伝子導入シロイヌナズナの作出とペンタCB生分解の検討。ダイオキシン類の生分解に関与しているという報告の多い白色腐朽菌、P.chrysosporiumからmRNAを調製し、RT-PCR法によりリグニンパーオキシダーゼのcDNAがクローニングできたので、5'末端、3'末端までそれぞれ延ばし完全長のcDNAを調製していく。
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