研究課題/領域番号 |
11839030
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
豊平 由美子 産業医科大学, 医学部, 助手 (90269051)
|
研究分担者 |
上園 保仁 長崎大学, 医学部, 講師 (20213340)
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
|
キーワード | ビスフェノールA / ノニルフェノール / 副腎髄質細胞 / カテコールアミン分泌 / イオンチャネル |
研究概要 |
環境中に放出された化学物質の内、生体内ホルモン動態に介入することによって生体の恒常性の維持、生殖、発達あるいは行動に影響をあたえる内分泌かく乱物質が原因と見られる野生生物の異常生態が次々に報告されている。エポキシ樹脂の原材料であるビスフェノールAは、缶詰内側のコーティングや歯科材科のシーラントとして用いられているもので、高温にすると溶出してくることが、p-ノニルフェノールはポリエーテルと結合した形で界面活性剤として使用されており、河川において魚の生殖系への影響が報告されている。このような内分泌かく乱物質の神経系への関与について、ウシ副腎髄質細胞を用いてカテコールアミン分泌を調節しているイオンチャネルへの内分泌かく乱物質の影響について検討した。 ビスフェノールAはニコチン様アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルや電位依存性Caチャネルの活性化によるカテコールアミン分泌をいずれも細胞内へのNa^+,Ca^<2+>の流入阻害を介して、濃度依存的(10-100μM)に抑制した。電位依存性NaチャネルにおいてビスフェノールAはVeratridineと非競合的に作用して阻害していた。ノニルフェノールによる長期処理はニコチン様アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルや電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を細胞内へのCa^<2+>の流入阻害を介して、いずれも濃度依存的(10-100μM)に抑制した。エストロジェン受容体のアンタゴニストであるタモキシフェンはノニルフェノールと同様のカテコールアミン分泌抑制を示し、ノニルフェノールによる抑制作用を阻害しなかった。 ビスフェノールA・ノニルフェノールはイオンチャネルをエストロジェン受容体を介さずに阻害することによりカテコールアミン分泌を抑制し、神経系の機能を修飾する可能性が示唆された。
|