核内ホルモン受容体コアクティベータを介する転写調節機構への環境化学物質への影響

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11839031
• 研究機関: (財)沖中記念成人病研究所
• 研究代表者: 小澤 安則 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員 (10124306)
• 研究分担者: 紫芝 良昌 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員 (00072596) ; 田口 学 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員 (00265141) ; 竹下 章 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員
• キーワード: 内分泌かく乱物質 / 環境化学物質薬剤 / 核内ホルモン受容体 / コアクティベーター / SRC-1 / RAM-1 / LXXLLモチーフ / GST-pull down

研究概要

内分泌かく乱物質とよばれる環境化学物質や薬剤の多くはステロイド系ホルモンの作用があることが知られている。ステロイド系ホルモンの主な作用機序は、受容体を介した核内での転写調節で説明されるが、受容体とコアクティベーターとのホルモン依存性の結合が転写の活性化に重要であることが近年明らかとなり、いくつかのコアクティベーターがクローニングされた。内分泌かく乱物質も同様にコアクティベーターを介して作用する可能性が高い。そこで本研究では、受容体としてエストロゲン受容体αとβ(Erα、Erβ)、グルココルチコイド受容体(GR)、ステロイド・ゼノバイオティク受容体(SXR)を、コアクティベーターとしてはSRC-1とTRAM-1を用いて内分泌かく乱物質の存在下、受容体とコアクティベーターとの結合について検討した。まずSRC-1およびTRAM-1にはLXXLLモチーフと呼ばれる受容体との結合に重要なドメインが存在するが、その部位をGSTとの融合タンパクとして大腸菌にて発現させた(GST-SRC-1、GST-TRAM-1)(Endocrinology 141:1281,2000)。GST-SRC-1またはGST-TRAM-1と35S-Metでラベルした各受容体との結合をホルモン及びその誘導体、環境化学物質や薬剤の存在下GST-pull down法にて解析した。その結巣、一部の環境化学物質や薬剤が受容体とコアクティベーターとの結合を促進することを見い出した。さらに、このvitroの結合実験の結果をvivoでも確認するために動物細胞へのトランスフェクションによるmammalian two-hybrid法を用いて検討中である。今後は各受容体遺伝子やコアクティベーターが発現している臓器を用いて、実際に環境化学物質や薬剤が標的遺伝子の発現を調節するかどうかノーザンブロット等を用いて検討する。

研究成果

• [文献書誌] Taguchi M.,Kanno H.,Kubota R.,Miwa S.,Shishiba Y.,Ozawa Y.: "Molecular cloning and expression profile of rat myocilin"Mol Genet Metab. (in press). (2000)
• [文献書誌] Takeshita A.,Ozawa Y.,Chin WW.: "Nuclear receptor coactivators facilitate vitamin D receptor homodimer action in direct repeat hormone response elelments"Endocrinology. 141(3). 1281-1284 (2000)
• [文献書誌] Juge-A CE.,Hammar E.,Siegrist-KC.,Pernin A.,Takeshita A.,Chin WW.: "Regulation of the transcriptional activity of the peroxisome proliferator activated receptor alpha by phosphorylation of a ligand-independent trans-activating domain"J.Biol.Chem.. 274(15). 10505-10510 (1999)
• [文献書誌] Koibuchi N.,Liu Y.,Fukuda H.,Takeshita A.,Yen PM.,Chin WW.: "ROR alpha augments thyroid hormone receptor-mediated transcriptional activation"Endocrinology. 140(3). 1356-1364 (1999)
• [文献書誌] Ikeda M.,Kawaguchi A.,Takeshita A.,Chin WW.,Endo T.,Onaya T.: "CBP-dependent and independent enhancing activity of steroid receptor coactivator-1 in thyroid hormone receptor mediated transactivation"Mol.Cell.Cndocrinol. 147(1-2). 103-112 (1999)