今年度は、おおむね以下の項目について研究を行った。 1.衛星画像の選択・蒐集を中心におこなった。現在、宇宙開発事業団によって研究用に提供されている衛星画像は、中国大陸の全部をカバーするものではないので、本研究に適応できるものとして、泰山周辺および茅山周辺の画像データを取りあげることとした。 2.上記、泰山周辺および茅山周辺の画像データのうち、本研究に最適なものがどれであるかを検証するために、LANDSAT の MSS/TM画像データ、SPOT の HRV 画像データ、ADEOS の AVNIR 画像データ、JERS の SAR 画像データを比較した。現段階では、LANDSAT TM / SPOT HRV / ADEOS AVNIR がそれぞれ適応可能と判断されるが、各衛星のカバー地域が一律ではないため、選択の余地がない場合も多い。 3.ついで、衛星画像の処理手法としてどのようなものが最適かを検証した。山岳地帯の場合は3次元画像の生成が不可欠であるが、市販の汎用画像処理ソフトでは必ずしも本研究の要求には応えられない部分が残ることが明かとなった。また、Digital elevation model データが必要であるが、その入手はきわめて困難であり、現状では3次元画像の生成は非常に困難である。しかし、平面画像を種々に処理して得られる画像データは、『五岳真形図』の基本構造の解析に十分利用できると判断される。 4.最後に、上記衛星画像データと実際の地上からの景観データを対比分析するために、茅山周辺と泰山周辺の実地調査を二週間にわたって実施した。そのデータの分析は来年度の課題である。
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