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2001 年度 実績報告書

初期朝鮮朱子学に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11871005
研究機関筑波大学

研究代表者

佐藤 貢悦  筑波大学, 哲学・思想学系, 助教授 (80187187)

キーワード李穡 / 理 / 気 / 道統 / 鄭夢周 / 鄭道伝 / 理気論 / 人乃天
研究概要

1.平成13年度は、去る10月12日に韓国安東市で開催された、李退渓生誕500周年記念国際学術会議にゲストスピーカーとして招かれ(「日本近現代における儒教文化の位相について」、安東大学退渓学研究所編『退渓とともに未来に向かって』所収)、その機会を利用して、成均館・高麗・延世大学などの研究者らと韓国朱子学に関して意見を交換し、また本研究に関連する文献資料を入手した。なお、本研究発表にも間接的ながら本研究の過程で得られた種々の知見が反映されている。
2.三年間にわたる本研究の成果を総合するところ、初期朝鮮朱子学の展開を以下のように鳥瞰することができると思われる。李穡の「天人無間説」は漢代董仲舒を踏襲して、いわば主気的傾向を帯びていた。気を媒介とする天人(万物)一体論である。以後、かれの学問系統(「道統」が次第に意識されはじめる)は、「東方理学の祖」と呼称される鄭夢周、李穡の門人である鄭道伝へと継承される過程において、「天即理」の主理論に傾いていった。理を媒介とする天と人(性)の一体論である。この構図は、あたかも李朝中葉の徐敬徳(主気)〜李退渓(主理)〜李栗谷(主気)という思想史的展開を彷彿させる。朝鮮朱子学を特色づけるかの理気論は、あたかも螺旋運動のごとく独自に深化されたとみなすことができるし、その祖型は高麗末・李朝初期においてすでに準備されていたのである。
3.以上のような思想史的展開の過程は、その基層部分に「天人無間」のカテゴリーを見据えることによってより闡明されうる。また近代における東学運動は何故に「人乃天」(人すなわち天)をスローガンに掲げたのかという歴史的課題も、かかる視角から構造的に説明されうるであろう。
4.資料のデータベース化の完成と、韓国人研究者による先行研究に関する一応の読了を待って、本研究の最終的成果を公開すべく、目下出版社と打ち合わせ中である。

研究成果

(3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 佐藤貢悦: "政治化された思想史"日本文化研究. 11号. 1-19 (2000)

  • [文献書誌] 佐藤貢悦: "日本近代における儒教文化の位相に関する研究序説"亜州中的日本・日本中的亜州. 1-26 (2001)

  • [文献書誌] 佐藤貢悦: "日本近現代における儒教文化の位相について"退渓とともに未来に向かって. 127-159 (2001)

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公開日: 2003-04-02   更新日: 2016-04-21  

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