研究課題/領域番号 |
11871006
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研究機関 | 成安造形大学 |
研究代表者 |
小林 博道 成安造形大学, 造形学部, 教授 (80268078)
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研究分担者 |
大野 俊明 成安造形大学, 造形学部, 教授 (20203888)
本郷 重彦 成安造形大学, 造形学部, 教授 (90209312)
田邊 徹 成安造形大学, 造形学部, 教授 (40268074)
金村 京一 成安造形大学, 造形学部, 講師 (70268085)
千速 敏男 成安造形大学, 造形学部, 講師 (90298670)
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キーワード | 造形活動 / 地域文化 / 佐渡版画村運動 / 美術 / 造形知 / 高橋信一 / コミュニケーション |
研究概要 |
造形による知的営みとしての「造形知」は、感覚器官に直接関わるものであり、したがって、きわめて身体性に富む。そこで、私たちは、その営みにおいて身体性が重要な契機をなす日常生活における「造形知」の諸相の検討から着手することとした。さらに、日常生活に向けられた眼差しは、日常生活の場としての地域社会へも連なっていく。地域社会においては、「造形知」は、地域文化の形成において重要な役割を果たしていることだろう。それゆえ、今年度は、「造形知」が地域文化の形成において重要な契機になったと考えられる「佐渡版画村運動」の現地調査(1999年9月7日より10日まで)およびその検討を中心課題とした。 新潟県佐渡郡における「佐渡版画村運動」は、1976年前後から在住の版画家、高橋信一氏の主導により始められた版画教室である。当初は佐渡島在住の人々による余暇活動として出発したが、新潟県展覧会(県展)をはじめとして多くの公募展に入選者を輩出するようになり、1984年には会員の作品を常設展示するための美術館「佐渡版画村」が開設されるに至っている。今回の現地調査では、9人の会員作家にインタビューをおこない、また「佐渡版画村運動」の場となった佐渡島の風土をヴィデオとカメラで撮影した。また、新潟県立図書館などで関連文献を収集した。その後、成安造形大学内で、4回にわたって研究会を重ね、地域文化の形成における「造形知」の関わりについて検討した。 その結果、通常、日常生活においては「ことば」によってコミュニケーションがおこなわれ、その結果として地域の人間関係が形成されていくが、「佐渡版画村運動」により、地域の人々が、「かたち」によるコミュニケーションの可能性に気づかされ、これまでとは異なる豊なインゲン関係を地域の中につくりだしえたことが明らかになった。 また、「研究発表」に記載したとおり、個別研究も着実におこなわれた。
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