研究概要 |
昨年度からの研究で,中心視野障害患者の読みについて,MNREAD-Jという研究代表者らが開発した読書検査チャートを用いて測定し,同じく研究代表者らがすでに開発したデータの解析ソフトMNAJ06を用いて解析する手法により,中心視野に見えない部分,すなわち中心暗点がある人では,視力からは推定できない重篤な読書の障害があること,しかし適切なサイズの文字の拡大をすることができれば読書の能力が改善することを確かめることができた.この論文は日本視訓練士協会誌に掲載された.今年度はこれを一歩進めて,MNREAD-Jでの測定が困難なケースについて測定する方法を開発し臨床でのテストを行った.その結果,これまで標準的に使われてきたエイドでは読書能力を改善できないケースでも,読書能力を改善する手だてがあるかもしれないことが分かった.この成果の一部は,日本視覚障害リハビリテーション協会大会や日本視能矯正学会で報告し,平成13年4月の日本ロービジョン学会と平成13年5月のAssociation for Vision and Ophthalmology(ARVO)でも報告する予定である.また,視覚障害者が読書をするために処方されたエイドが,妥当であるかどうか客観的に評価するために,MNREAD-Jで測定した個々の患者の読書能力のデータを活用する方法を開発した.これについてもARVOにて報告する予定である.また,中心暗点でなく輪状暗点のある患者の読書の解析から,視野障害のある視覚障害者の読書の仕方についての有益な情報が得られたので,これを臨床眼科学会で報告し論文として刊行予定である.
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