保育者の音声特徴を知るために平成11年度に収集したデータの中から、現職保育者3名、学生6名の声について、声帯に無理のかからない楽な声(optimum pitch)と習慣的に使用する声(habitual pitch)、絵本朗読時の声、通常の文章朗読時の声、大人との会話時の声の5条件で、声の高さ(基本周波数)、抑揚(最大、最小基本周波数、基本周波数レンジ)を測定した。現職保育者の音声は、学生に比べ、高くて抑揚が大きいという特徴を示した。結果は、立教女学院短期大学紀要、2000年、32号、137〜146に発表した。 保育経験の違いによる保育者の声の特徴について検討した。被験者は保育経験1年未満から10年の15名について上記の研究と同様の分析を実施した。その結果、保育経験の長い保育者は、高い声よりも、大きな抑揚を使用し、保育経験のあまりない保育者は、抑揚よりも高い声を使用する傾向が見られた。この結果は、第54回日本保育学会(2001年5月)において発表予定である。 現在、以下の2つのデータについて解析を継続中である。 1.幼児2名、保育者(または学生)2名という小集団の自由遊びの状況を収録し、幼児の注意持続時間、物理的行動範囲、感情表現、感情統制行動などの指標について分析を試み、検討中である。被験者は保育者3名、学生9名。 2.3ヵ所の保育所での保育場面をビデオ録画し、その場の保育者の音声をMD録音した資料について1.と同様の解析を試みている。データ収集の対象とした年齢クラスは、3歳から5歳、被験者となった保育者は10名であった。
|