研究の初年度であり、本年度の前半は既存資料の収集とその内容の検討を中心とした。国内外のデータベース等を活用することによって、これまでに蓄積されてきたテレワーク研究のうち主要なものを入手し、文献研究を行なうことができた。 その結果、現時点では在宅就業型テレワーカーが、ひとつないし少数の企業と契約して、その範囲で委託業務を請け負うタイプのものと、SOHO(Small Office Home Office)型の企業経営タイプに分化していきつつあることが判明した。前者については、調査方法などに問題・限界があるものが多いが、すでにある程度のアンケート調査等がなされている。他方、SOHOに関する学問的調査研究は、さらに限られている。このような理由から、本年度の後半はSOHOを対象とした調査活動に着手した。 具体的な調査方法としては、「大阪ソーホー・デジタルコンテンツ事業協同組合」の加入者に対するインタビューが中心となった。同組合は大阪近辺で開業するSOHO経営者の組合であるが、各加入者はプログラマ・webデザイナー・コンサルタント等の様々な異なった業種に属し、これまでのところ、国内唯一の「異業種の協同組合」である。単一業種のSOHO組合を調査する事に比してのメリットは、様々な業種の実態が把握できることにとどまらず、それらのSOHO間のネットワークの事例研究を行うことが可能な点にある。 主として質的データの収集をめざしており、1件ごとが非常に長時間のインタビューとなる傾向にあるため、現時点で、調査を継続中である。いまだ成果の発表には至っていないが、次年度前半には同協同組合の調査を終える予定である。
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