1.国内調査 筒井徳二郎一座の活動に関して、これまでの調査を継続する形で、新聞を中心に公演記録を収集することができた。この関係の主な成果として、前名・千島小二郎から筒井徳二郎に改名した時期を特定することができた。今年も筒井一座の元座員(現在90歳の女性)に調査に協力頂き、欧州巡業に際して宿泊した各国ホテルのステッカー(17点)を提供頂いた。またある座員の子孫が、欧米巡業に携行したパスポートと巡業先での一座の写真を所蔵していることがわかり、利用させてもらった。さらに筒井徳二郎の本家子孫から写真の提供を頂いたり、傍系子孫から筒井晩年の生活について聞き書きさせてもらった。上記パスポートとホテルステッカーの発見により、これまで不明なところが多かった巡業順路の解明が相当に進んだ。 2.海外調査 ニューヨークの市立図書館では筒井一座のニューヨーク公演についての新聞記事を収集し、同市リンカーン・センターの上演芸術専門図書館(改築中のため仮設の図書館だった)においてニューヨーク公演のプログラムを入手することができた。ワシントンでは議会図書館に通い、ヨーロッパ主要都市、特に北欧、東欧、南欧での公演記事を入手することができ、上記巡業順路の判明と相まって、筒井一座の欧米巡業の実態解明に数歩前進したという感じである。さらにロサンゼルスのUCLAフィルム・テレビ資料館とサウス・キャロライナ大学のニューズフィルム・ライブラリーで、一座のアメリカ公演のニュース映画が発見でき、現在分析中であるが、これは欧米巡業における一座の上演様式、演技の質・特色等を明らかにするための重要資料になるだろう。
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