1999年度は、本研究課題の対象を第二コリント書に絞って分析を行なった。 まず最初に本研究課題を始めるきっかけとなった第二コリント書の注解書が出版されたが(『新約書略解』所収)、本研究を進める中で、さらに明確になった点は、可能な限り修正した。 第二コリント書がいくつかの手紙で構成されている分割説に関連して、1-9章と10-13章は、別であるという結論に達したが、その立場から1-9章と10-13章を書簡理論的分析の視点と修辞学的分析の両方を併せ用いて、論文を発表した。1-9章に関しては、日本聖書学研究所の欧文紀要で英語改訂版を発表した。10-13章に関しては、2000年7月にスウェーデンのルント大学で開催された新約聖書学の修辞学的批評の国際研究集会で発表する予定(その後、イギリスのシェフィールド・アカジミック・プレスから出版予定)。 パウロの論敵についても共通見解に達していないが、修辞学的分析の立場から、第二コリント書10-13章におけるパウロの論敵について分析して、論文を発表した。 第二コリント書のいくつかの残されている問題に取り組みつつ、今後は研究対象を第一コリント書に移行していきたい。
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