今年度は、平成11-13年度の当該研究期間の最終年度であるので、残された課題のうち、第二コリント書8章と9章の関係を書簡理論と倫理の視点で分析した。(1)8章と9章は1-7章の続きである、(2)8章は1-7章の続きである、(3)9章は1-7章の続きである、(4)8章、9章は別々の断片的な二通の手紙である、という分割説の中で、(1)が正しいという結論に達した。 また、主に昨年度分析した第二コリント書1-9章と10-13章の関係を書簡理論と修辞学の視点で分析した論文(400字詰め原稿用紙約100枚)を約半分にした短縮版を『新約学研究』に発表した。 さらに、修辞学的批評の概要と歴史とそれを用いた釈義の実際について紹介した論文を『アレテイア』に発表した。 その上、3年間の研究成果をA4版で『パウロ書簡における書簡理論的・修辞学的研究-Epistolary Theoretical & Rhetorical Studies in a Pauline Epistle』にまとめて出版し、国内・国外の研究者を中心に配布した。研究成果報告書は、7つの論文で以下のように構成されている。日本語の論文も英文の要約が付けられている。 第一章第二コリント書1-9章の書簡理論的・修辞学的分析 第二章第二コリント書10-13章の書簡理論的・修辞学的分析 第三章第二コリント書10-13章におけるパウロの論敵 第四章書簡理論と修辞学の視点から見た第二コリント書1-9章と10-13章の関係 第五章修辞学と倫理の関係から見た第二コリント書8章と9章の関係 Ch.6 Epistolary Theoretical & Rhetorical Analyses of 2 Cor.1-9 Ch.7 Epistolary Theoretical & Rhetorical Analyses of 2 Cor.10-13
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