11年度は、3年にわたる本計画の初年度であることから、基礎研究としての比較法研究に重点を置き、研究を進めた。 具体的には、これまで研究を積み重ねてきたEUを中心とするヨーロッパ法の研究を継続し、ドイツ、イギリス、フランス、オランダ、北欧諸国などの規制に関する文献を収集し、一応の分析を行った。この分野でのヨーロッパ法を主導するドイツの法状況を分析するため、ドイツ不正競争防止法に関する注釈書に基づいて分析作業を丹念に行い、ドイツ不正競争防止法1条および3条の具体的違法類型の析出に時間をかけた。 この中で基本類型として次の5つの具体的内容が明らかにされた。すなわち、(1)顧客誘引型、(2)取引妨害型、(3)冒用行為型、(4)法令違反型、(5)市場阻害型である。この分析により、それぞれの違法行為類型の意味と、その規制の実効化策(差止請求権の付与など)との相関関係が問題として提起されることになった。また、こうした違法広告の認定がどのような基準でなされるのか、あるいは違反者に対してどのような処置をとるべきなのかも課題として検討された。 さらに、EC指令の国内法化が漸次行われていることからEC法の検討も行った。
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