本研究は、市場の外枠である法秩序維持の観点から具体的には、不当な勧誘を、マーケッティング行為の一部としてとらえ、取引行為として許されない違法な広告類型を抽出するとともに、その違反行為に対して制裁を与えるために、消費者や消費者団体等にどのような権利(差止請求権など)を付与すべきかどうか、またその権利内容をどのようにすべきかなどを課題とするものである。 12年度は、11年度の比較法的基礎研究の成果を基礎としつつ、ドイツ法を起点としながら、上記の課題と密接な関係にある法規制として、ヨーロッパ不正競争防止法の動向、またEC電子商取引指令の分析を行った。 具体的には、ドイツ・オスナブリュック大学教授アーレンス氏を招聘しての「ヨーロッパ不正競争防止法の動向」に関する報告を受け、それを基礎とした共同研究を実施した。特にドイツ法がEC条約の自由な流通という観点を尊重し、価格表示法、割引制限法の撤廃を決断したことが特徴的である。法律自体は撤廃されたがこれらの法律が有していた趣旨はなお不正競争防止法で問題となりうる。
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