平成11年7月から、小樽の中小企業経営者4名の方の協力を得て、本研究の主旨を説明したうえで、勉強会を1回/月のペースで開始した。勉強会の運営スタイルは、各経営者から、それぞれの立場での問題点や課題を提起していただき、それについて全員で検討するという方法を取った。また、勉強会の一貫として、外部(東京)から、講師(コンサルタント等)を招いて、議論に参加していただくということも行った。 提起された問題・課題はさまざまなレベルに及んだが、主なものとしては、全社員のやる気の欠如や合意形成・考え方の統一の困難さといったものが根底に存在しているようであり、多くのものが共通していた。それぞれの問題・課題に対応する方策は、経営者によって異なっていたが、それを隠すことなく開示していただくことによって、経営者としてのスキルアップや"やる気"の高揚、経営を続ける"自信"の喚起などといった面で非常に有益との感想が支配的であった。また、従来の異業種交流会などでは、今回ほどつっこんだ話合いをしたことはないという事も確認できた。 このような勉強会が成功した最大の要因は、お互いの信頼感、勉強会をコーディネイトする人間の存在、および、4〜5人という人数などが挙げられたが、このような勉強会を増殖させ本当のネットワークとして機能させる点については、来年度の研究の大きな課題となっている。しかし、今回のようにクローズされた勉強の場において本音ですべてを開示・吐露し、経営者同士が検討しあうことの有効性に理解を示す経営者も多くいるとのことなので、来年度の主要な研究ポイントは、それらの経営者をどのように組織化し、それを自己増殖的に広めるかという点となる。これについては、既存の経済団体(中小企業家同友会等)や大学の関与も含めて試行を通じた研究を行う予定である。また、あわせて、ホームページなどによるこのようなネットワークの支援・促進機能についても検討する予定である。
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