研究課題/領域番号 |
11874004
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50186847)
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研究分担者 |
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
向井 茂 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (80115641)
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キーワード | K3曲面 / 自己同型群 / Mathieu群 / Leech格子 / Monster / 保型形式 / エンリケス曲面 / Del Pezzo曲面 |
研究概要 |
1.K3曲面に自己同型群として作用する有限群を決定することは、高次元代数多様体の研究への応用もあり、重要な問題である。K3曲面が複素数体上定義されている場合、K3曲面の周期に自明に作用するsymplecticな自己同型からなる有限群は完全に分類されており、モンスターとの関連のあるMathieu群M_<23>の部分群としての特徴付けも知られている。一方、正標数pの場合、位数pの自己同型が引き起こす正標数特有の現象があり、自己同型の研究はあまり進んでいない。この研究では、標数2、3の場合に、超特異K3曲面に作用する有限群の研究を行った。超特異K3曲面に作用する有限群でMathieu群M_<23>には含まれない例を、Leech格子の幾何学を用いて構成した。引き続き、超特異K3曲面に作用する有限群の分類をこの観点から進めていく。Leech格子は有限単純群モンスターの構成に深くかかわっており、上記の点はK3曲面とモンスターの間のまだ見つかっていない関係を示唆するものと予想している。 2.モンスターの研究に現れる一般のKac-Moody代数の分母公式に付随したIV型領域上の保型形式の研究がBorcherds氏によってなされたが、この保型形式論を用いて、エンリケス曲面のモジュライ空間の射影モデルの構成を行った。この方法はアーベル多様体の場合のテータ関数を用いたモジュラー多様体論の類似と考えられ、K3曲面に関係したモジュライ空間の研究に有効であろうと期待される。一方、Del Pezzo曲面のモジュライ空間とあるK3曲面のモジュライ空間との関係を、最近、見いだした。上記の保型形式論を用いたDel Pezzo曲面のモジュライ空間の研究に現在、取り組んでいる。
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