研究課題/領域番号 |
11874005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊沢山 知義 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60011722)
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研究分担者 |
金子 昌信 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70202017)
渡部 隆夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30201198)
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キーワード | 保型形式 / ゼータ関数 / 整数論 / アイゼンシュタイン級数 / Koecher-Maass級数 / リフティング / 逆定理 / 半整数ウェイト |
研究概要 |
本年度は、1変数保型形式fからIkeda liftingにより得られたジーゲル保型形式のKoecher-Maass級数は、実はfのL関数の平行移動を用いて表されるという結果が得られた(桂田英典氏との共同研究)。筆者は、このような予想をIkeda lifting(Duke-Imamoglu予想)が述べられる以前から持っていたが、これが初めて証明されたことになる。以上により、Koecher-Maass級数とリフティングの関係はかなりはっきりしたと考える。すなわち、なんらかのリフティングで得られるジーゲル保型形式は、そのKoecher-Maass級数も自然な形をしているのである。これはまた逆にKoecher-Maass級数を用いてそのようなリフティングが証明される可能性も示唆している点で本萌芽的研究の目指す方向は正しいということになる。 また、全モジュラー群に関する、ウェイトが2k-2の1変数保型形式fと2k-4の1変数保型形式gの組から、次数2の半整数ウェイトk-1/2のジーゲル保型形式Fでplus spaceに属するものが、リフティングで得られて、かつFのL関数がfとgのL関数で記述されるであろうという筆者と林田秀一による予想について、さらに実験データを増やして周辺事情を明らかにし、レベルが4のとき、kが奇数の時などについて、どうあるべきかを述べ、またYoshida liftingやIhara-Langlands conjectureとの関連で、整合的な予想を述べればどういう枠組みにおさまるかについて解明した。一方で、リフティングをありうべきナイーブな志村対応の拡張を通じて整数ウェイトのリフティングから説明しようとするのは少なくとも(必然的にベクトル値を含む)一般のウェイトでは無理と考えられることもベクトル値ジーゲル保型形式の実験結果より明らかになった。
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