研究概要 |
本年度はアフィン・スーパー・リー環に付随するW代数とconformal-super代数およびsuper-conformal代数についての研究を行い,次のような成果が得られた。 conformal-super代数の表現は(表現が有限ランクであっても)完全可約ではない。そのため表現空間の分解はJordan-Hoelder列になる。逆にいえば,表現空間のnon-split extensionの形になる。Neveu-Schwarz conformal代数の2個の既約表現のnon-split extensionを調べて,それをすべて求めた。とくに面白いのは最大次数の所で,Virasoro代数のときと同じようにそれら2個の既約表現のパラメーターα,βの値に離散的な現象が現れ,non-split extensionを与えるα,βの値はα=(9±√<33>)/4,β=α-4=(-7±√<33>)/4のみであることを示した。Virasoro代数のとき,これに対応する数値はα=(7±√<19>)/2,β=α-6=(-5±√<19>)/2である。 また,アフィン・スーパー・リー環のときにそれに付随するW代数を構成することはこれまで未解決な問題のひとつであったが,筆者は本年度のKac教授との共同研究で,スーパー・リー環から派生する或る代数多様体から生じる因子をBRST複体に付加することによってW代数を構成してこの問題を解決し,ランクの低いアフィン・スーパー・リー環のW代数を具体的に求めた。
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