研究概要 |
研究代表者の導入したリーマン多様体上で定義させるSchwarz微分について、当面解決すべき諸問題の検討整理を行った。 このSchwarz微分は、スカラー曲率および共形性が大きな役割をもっている。分担者片桐はスカラー曲率に関して、それが負定数となるような計量のモデュライの位相が負曲率多様体では簡明な構造となることを示した。負定数スカラー曲率の計量はその共形類の代表と見なせる。したがってこの成果がSchwarz微分の理論に関わりをもつことが推察されるが、その関連性はまだ十分解明されていない。 計量が正定値でない場合でもSchwarz微分は定義可能で、これはラゲール幾何リー幾何と関係がある。しかしこの場合,空間の共形的完備化が円々対応でなくなることが観察される。Schwarz微分の曲率補正項としてリッチ曲率を取り入れればこの問題は解消される。しかしこの修正版は2次元の場合意味付けが困難になるなど別の問題が生じる。またいずれの定式化においても共形性を前提においているが、これが真に必要かどうか検討の余地がある。メビウス幾何の総合幾何としての体系が確立されてないことに一因があると思われる。この方向での研究も必要であり、現在その研究を進めている。
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