研究概要 |
●昨年度までの研究により,曲率が下に有界な3次元コンパクト・アレクサンドロフ空間において極小曲面を構成するためには,まずアレクサンドロフ空間のリプシッツ同相写像の変形理論を少なくとも3次元において構築することが必要であることが判明していた.これに関して,アレクサンドロフ空間の一点からの距離関数の一般化された意味の積分曲線のリプシッツ性に関するヒントが得られた.とくに,距離球にリプシッツ構造が入り,リプシッツ同相写像の変形理論がリプシッツ多様体に対して適用出来ればアレクサンドロフ空間のリプシッツ同相写像の変形理論を確立することが可能となる.更に低次元のアレクサンドロフ空間にリプシッツ構造を入れる方法について,明確で実現可能と思われる手法を見つけることができた.来年度これらの具体的に実現可能となった問題に着手したい. ●最大の頂点数をもつコンパクト非負曲率アレクサンドロフ空間の等長類の分類が,実質的には昨年度の研究により得られていたが,本年度は論文を完成する時間的余裕がなく,来年度中に完成させる予定である.正曲率をもつコンパクト・アレクサンドロフ空間の頂点数の精密評価,また最大頂点をもつそのような空間の分類なども解明したい.
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