本研究では部分構造論理に対し代数的手法からのアプローチを行なうことを目指している。現在は特に縮約性を仮定しない部分構造論理に対しresiduated latticesを用いた研究を集中的に行なっているところであるが、今年度はこの方向の研究で大きな進展が得られた。小野はこの分野に関する概説と将来的な展望を述べた研究論文をまとめ投稿中である。また共同研究者のTomasz Kowalskiとともに二つの論文をまとめ、これらもまた投稿中である。これらの研究成果は、縮約性を仮定しない論理はそれらを仮定している場合、すなわち中間論理の場合とは根本的に違う振舞いを示すことを明らかにしている。さらに、我々と大学院生の上田正樹との共同研究から、古典論理の直下には無限代数モデルでしか特徴づけがおこなえないような論理が非可算も存在するという驚くべき結果が得られている。代表者の小野はこれらの研究成果の一部を、すでに1999年6月にスペイン、9月にミラノにおいて開催された国際会議において、それぞれ招待講演と基調講演として発表した。 このような研究の方向をさらに推し進めるために、我々は"Algebra & Substructural Logics"と題する国際的なワークショップを企画した。このワークショップではこの表題が示す分野にテーマを絞り、この分野で活躍する専門家を集めて集中的に研究連絡および討議をおこなうことを目指した。1999年11月10日から一週間の間、北陸先端科学技術大学院大学において開催したワークショップには、海外の研究者8名を含む20数名の研究者が参加した。とくに普遍代数の研究で指導的立場にあるポーランドのA.Wronski教授、およびアメリカのW.Blok教授が参加し、非常に内容のある有意義なものとなった。その経費の一部は本研究の研究経費から支出された。この会合で得られた成果はポーランドで出版されている論理学の専門誌Reports on Mathematical Logicの特集号として近く出版される。
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