本研究では代数的アプローチによる部分構造論理の研究を展開することを目指してきた。現在はとくに縮約性を仮定しない部分構造論理に対しresiduated latticesを用いた研究を集中的に行なっている。多値論理やfuzzy logicなどもそれぞれresiduated latticesのクラスにより特徴づけられるため、これらの論理も部分構造論理として扱うことが可能である。このように本研究は従来の部分構造論理の研究に対して新たな視点と手法を導入し、それにより部分構造論理の研究の内容をはるかに拡がりのある豊かなものにすることに成功を修めてきた。実際に、共同研究者のTomasz Kowalski等とともにおこなってきたresiduated latticeのvarietyに関する研究成果はすでに2編出版され、さらに3編が近く出版される予定である。また、1999年にこの萌芽的研究の一環としてワークショップを開催したが、そこで発表された研究成果は2001年1月に数理論理学の専門誌であるReports on Mathematical Logicの特集号として刊行された。 2000年秋には前回のワークショップに引き続き「論理と代数」のミニワークショップを石川県において開催し、普遍代数の研究における世界的な権威であるアメリカのDon Pigozzi教授および束のカソニカルな拡張定理に関する重要な成果をあげたアメリカのJ.Harding博士、M.Gehrke博士を講演者として招ヘいした。これらの研究成果と我々が現在展開している部分構造論理の研究の関連性についてつっこんだ議論をおこなうことができ極めて有益であった。 我々がこの萌芽的研究で得た成果については、海外でも大きな関心が持たれ、アメリカ、ポーランド、イタリア、スペイン、インドなどの研究者との国際的なプロジェクトに発展させる計画が進んでいる。またこのプロジェクトを推進する基盤を作るため、この2年間での研究成果を60ページ程のモノグラフにまとめ、関連分野の海外の研究者に近く送付する予定である。
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