研究概要 |
Navier-Stokes方程式の一意性,正則性両者の成り立つクラスとして (1)L^s(0,∞;L^q(Ω)),2/s+3/q=1,3<q【less than or equal】∞ がある.ここに,Ωは3次元空間R^3における領域である.本研究では同クラスにおける安定性を考察した.Navier-Stokes方程式の弱解の時間漸近的な安定性はこれまで,初期の擾乱が小さいか,または弱解それ自身が小さい場合に限って研究がなされていた.一方,弱解の利点は大きな初期値に対する時間大域的存在を保証し,かつ反復法で構成される古典解とは異なり解も大きく成り得ることにある.そこで,分担者は同クラスの解の安定性を大きな初期擾乱,大きな摂動を与えた場合に考察した.実際,解ωを(1)に属するとする.初期擾乱a∈L^2_δ(Ω),外力の摂動fを任意に与える.ただし‖f(t)‖_<L^2(Ω)>=O(t^<-1>),t→∞とする.a,fをωからの摂動としたとき,対応する摂動解υは単に強エネルギー不等式を満たす弱解と仮定する.このとき, ‖υ(t)-ω(t)‖_<L^2(Ω)>→0,‖∇υ(t)-∇ω(t)‖_<L^2(Ω)>=O(t^<-1/2>) t→∞のとき が成り立つ.上記の定理は領域Ωの形状に関しては,境界が一様に滑らか以外には何の制限も持たない.
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